日々、チームについて思うこと

スタートアップで働いている女子の日記

営業のいろいろ。いま、SaaSセールスが面白い理由

営業は短期的にものを売る人ではなくて、お客様の課題を長期に渡って解決する人なのですが、日本はまだまだ前者の色が強いように思います。個人的な見解として、これは、メーカー主導の経済発展を遂げてきたことが大きいのではないでしょうか。東南アジアのITバブル以降に経済発展している国とは成長の過程が異なる。要は、市場にいる消費者の行動が変わってきたから営業という仕事も意味が変わっているはずなんですが、そのことは、あまり指摘されてない。

 

昭和の営業と営業3.0

物理的豊かさが経済的豊かさ、人にとっての幸せの指標だった時代は、とにかく物理的量を売る、ショット型の営業スタイルが主流だった。でも、ものが充足した現代、人は今までとは違った消費行動を取るようになりました。

趣向が細分化し自分軸でものを選ぶようになりメガヒットがでにくくなった。そして、「とりあえず買う」ではなくて「困ったときタイムリーに問題を解決できるから買う」に変わりました。ここにソリューション営業という概念が登場しました。営業3.0と言われてた時代です。

そして、今

最近は、ソリューションに加えて、一人のお客様と長期に渡ってお付き合いするという概念がとても大切になってきています。CRMというやつです。要は、人口が減少したこと、景気が低迷したこと、消費者の趣向がバラバラになってきたことから、日本国内での市場拡張が難しくなったわけです。新規顧客の獲得は困難となれば、既存顧客からお金をいただくしかありません。

 

昔こんなことがあった

「とにかく数が足りないから、売ってくれ。安くしていい(つまり効果が出なくてもいいということ)」

昔、勤めていた会社で上のようなことを言われたことがありました。お客様のことガン無視でして、自分たちの目標数のために、とにかく売ってこいと。売ることは大事なのですが、問題が2点ありました。

  1. そもそもお客様の課題解決にならない。お客様の課題を解決するには、それなりの金額がかかります。そこに、安いだけの大して効果の出ない内容をお試し的に売りに行っても意味がありません。
  2. 真実を伝えてないから認識にギャップが生まれ、次回以降、相手にされなくなる。安くしますから使ってください!と言って期待値とギャップがある状態で売ると次回以降、絶対に取引していただけなくなります。こういう行為は、将来に咲くはずの花の芽を摘むことに等しい。

言わずもがな、私はこのスタイルに意味がないと思っていましたし、すごく嫌でした。

 

SaaSはLTVという大事な経営指標があるので「とりあえず売る」は命取りになります。だからこそ、自分の性に合っているなと思っています。でも、お客様の課題に向き合えば売上が上がるかというとそうでもない。SaaS営業で大事なのは、恐らく下記3つ。

  1. お客様の課題解決策にはステップがあることを説明したか。どのくらいの期間で、どこまで達成されるのか(もしかしたら結構、時間がかかるかもしれない)をお客様に理解していただく努力をしたか。ギャップを生んでないか。
  2. 課題解決に伴うリスクを、きちんと説明し、取引先を選んだか。長期化、追加費用がかかる、学習コストなど、リスクになる部分や、対応できないことをお客様に理解いただいた上で、お互いに取引しないという選択もある。そういう判断をする強さと、決定する地点を持っているかは大事。
  3. 自分たちも進化しているか。SaaSは常に市場のニーズに合わせて自分たちも変化していきます。営業は市場との接点を持つ大事なポジション。変化の必要性を営業が自社に問うて組織を動かしていればお客様の期待に応えていくことができるはずです。

2が大事です。取引先を選ぶということが結果的にLTVに寄与します。これが結構、面白いポイントです。長期的に考えて、取引する。お客様は事業成長のパートナーという考え方です。上辺では、高頻度で「お客様はパートナー」と言われたりしますが、本当にそうなっている業界は少ないように思います。SaaS業界でその成功事例が作れるといいなと思います。